海外実地研修とは?

海外実地研修は、海外の事業現場で市場調査や業務遂行を体験し、学習成果を具体的な行動へ落とし込む核心科目です。2年次後期に実施し、日本企業の海外拠点での調査・実務体験、JICA事務所でのインターンシップ、ユネスコでの長期研修など、内容・期間・語学要件が異なるA・B・Cの3類型を設けています。ご自身の背景や語学力に合わせて、最適なコースを選択できます。

経験値×語学力で選ぶ3つのコース

ー海外実地研修A・B・C―

1

海外実地研修A

3〜4週間で日本企業の海外拠点や県の海外出先機関を訪問します。設定テーマに沿って業務補助やヒアリング調査を行い、学びを自社課題の改善策へ結び付けます。

2

海外実地研修B

JICA海外事務所で約2か月のインターンシップを行います。職員に同行して会議・進捗管理・関係者調整などを経験し、海外事業の構築・運営に必要なノウハウを体系的に身につけます。

3

海外実地研修C

ユネスコ海外事務局で約半年の実務研修を行います。長期プロジェクトを担い、多国籍チームで議論し事業を進める中で、事業構築に必要なチームワークとリーダーシップ、複数国との交渉力を養います。

修了生が語る海外実地研修Aのリアル

決断から最終報告書までのストーリー

ここでは、海外実地研修Aに焦点を当て、修了生2名が「いつ決め、何に苦労し、どう成果につなげたか」についてのリアルな声を紹介します。準備期間から現地での活動、最終報告書の作成、その後の活用までをご覧ください。

海外実地研修先にて
22023年度修了(3期生)安永 愛
海外実地研修の目的

ブランディングや新事業・新製品開発について、
多角的な視点で学ぶ(歯科用医療機器販売業)

2年次の海外実地研修で、歴史ある電子機器メーカーの国内本社に1週間(11月)とロサンゼルス拠点に2週間(12月)滞在しました。研修先は、ゼミの担当の先生のサポートもあり、7月にアポイント取得・決定までスムーズに進めることができました。
研修中は、最終報告書のテーマ(6月に決定)でもある「インターナルブランディングの企業への影響」、さらに以前から興味を持っていた「新事業・新製品開発」の観点からスケジュールを組んでいただき、様々な部署の方からお話を伺うことができました。具体的には、各事業部の紹介、工場見学、ファミリービジネス、スタートアップビジネス、海外拠点の歴史、新事業開発、ブランディングなど、本社だけでなく海外拠点についても幅広く教えていただきました。特に、創業100周年記念に伴うリブランディングや新規事業開発の挑戦について、経営層や各事業部の担当の方から直接お話を伺い、ブランドブックの作成やブランドロゴの刷新など、経営者自らが情熱を持って取り組まれたことを知り、社員一人ひとりが参画したプロセスを目の当たりにすることができました。
帰国後、最終報告書を仕上げ始めましたが、仕事の都合により研修が11月後半から12月前半になった影響で時間に余裕がなく、限られた期間で仕上げることが最も大変でした。
最終報告書では経営者自らが「ブランド・ビジョンを社内へ浸透させる仕組み」を作っていくことの重要性を提言しました。また、社内向けのブランディングは短期間で成果が出るものではなく、長期的な視野が必要であることを学びました。そして、最終的には社員がそのブランド価値を体現できるようになることが重要であると理解しました。
研修を通して学んだ「いかに人の気持ちを動かすことができるか」という視点は、ブランディングだけでなく、日々の営業活動やカタログデザインなど様々な業務において私のベースとなっています。

視察先企業のスタッフとともに
2023年度修了(3期生)渡邊 幸佑
海外実地研修の目的

アジア新興市場における海外駐在員の
役割と課題(団体職員)

2年次の海外実地研修で、タイに 2週間、ベトナムに 1 週間、インドに 1 週間滞在し、県内企業の海外拠点や現地日本貿易振興機構などを訪問。海外駐在員が果たす役割や業務内外の課題を「リアルな声」として調査しました。
業務の合間を縫って渡航準備や研修テーマの検討を行う必要があり、限られた時間で現地の情報を収集し、仕事と結び付けることに苦労しました。長期間職場を離れるための引き継ぎや調整もありましたが、上司や同僚の理解と協力に支えられました。
渡航半年前からテーマ検討を開始し、現地の担当者と連絡を取りながら、おおむね2か月前までに訪問先を決定。海外駐在経験の豊富な担当教員からは、現地でのヒアリング項目や訪問先の調整について手厚いサポートをいただきました。
研修中は県内企業の海外拠点を中心に 20か所以上を回り、拠点の概要・業務内容、本社との関係性やギャップ、赴任先での困りごとや私生活まで幅広くヒアリング。その結果、海外拠点の維持は、駐在員個人の資質や努力に大きく依存しており、必ずしも十分な支援体制や人材育成の仕組みが整っていないことが分かってきました。また、本社と現地の考え方のズレが、混乱やストレスを生む原因になっていることも確認できました。 最終報告書では、①中小企業向け海外勤務モデルの提示、②海外駐在員クラブの設立、③グローバル人材育成プログラムの充実、の3つを提言し、駐在員に任せきりにせず、中長期的なビジョンで人材を育成し、会社全体で海外拠点を支える仕組みづくりが必要であるとまとめました。本社と現地がよりスムーズに連携できることが、持続的な海外展開のカギになると考えています。
現在、私は海外支援の仕事には直接関わっていませんが、「現場の声を丁寧に聞く姿勢」や「制度と実態のギャップに気づく視点」は、他の業務でも役立っています。この研修を通して、制度や戦略だけでなく、「人」の育成やつながりが海外拠点の成功にとって大切だということを実感しました。表に出にくい課題を丁寧に拾い上げ、現地の声に耳を傾け続けることこそが、本当の意味でのグローバル支援の出発点であると感じています。